御手洗くんと恋のおはなし
「何で、りょ……神楽先生が。お前、まさか」
「ええ、賭けのことを伝えました。ただ、負けた場合僕が探りを入れることは言ってませんから。あくまで貴方が諦めるか諦めないか、だけです」
坂本は戸惑いながら、こちらを見ている涼子を見た。目が合う──が、それもすぐにそらされてしまった。
グッと坂本が拳を作ったのを、満は息を吐いて見届けた。きっと心の中で「絶対諦めないからな」なんて熱い闘志を燃やしているのだろう、と安易に予想がつく。
坂本との賭けなぞ、勝とうが負けようが満に大きなリスクはない。しかし。
「みーちゃん、ガンバレ!」
二階応援席から届いた、和葉の声。
女子たちの団体の中に好きな人の姿を見つけてしまっては、満も俄然やる気が出る。思わず仏顔で微笑んで、二階の和葉に手を振った。
その近くにいる涼子とも視線は合ったが、坂本同様すぐに逸らされてしまう。
(勝たないとね。僕のためにも──神楽先生のためにも、ね)
苦笑をこぼして、満はコートに向かった。
「ええ、賭けのことを伝えました。ただ、負けた場合僕が探りを入れることは言ってませんから。あくまで貴方が諦めるか諦めないか、だけです」
坂本は戸惑いながら、こちらを見ている涼子を見た。目が合う──が、それもすぐにそらされてしまった。
グッと坂本が拳を作ったのを、満は息を吐いて見届けた。きっと心の中で「絶対諦めないからな」なんて熱い闘志を燃やしているのだろう、と安易に予想がつく。
坂本との賭けなぞ、勝とうが負けようが満に大きなリスクはない。しかし。
「みーちゃん、ガンバレ!」
二階応援席から届いた、和葉の声。
女子たちの団体の中に好きな人の姿を見つけてしまっては、満も俄然やる気が出る。思わず仏顔で微笑んで、二階の和葉に手を振った。
その近くにいる涼子とも視線は合ったが、坂本同様すぐに逸らされてしまう。
(勝たないとね。僕のためにも──神楽先生のためにも、ね)
苦笑をこぼして、満はコートに向かった。