御手洗くんと恋のおはなし

「こんなに頻繁に遭うなんて、やっぱりおかしいよね。……ど、どうしたらそういうのに、遭わなくなるのかな」

　満は目を細めた。それは微笑みではなく、彼女からの哀しみを感じ取ったからだった。

　満と和葉に挟まれて座る梨花が小さく見えるのは、彼女の背が低いからだけではない。
　彼女の自信のなさが、怯えが、そう見せているのだ。
　派手ではなくどちらかというと地味目な梨花だが、それがかえって痴漢の標的になってしまうのだろう。満は口を開いた。

「そうか。……そうだね、じゃあ……」

　彼はしばらく考えを巡らせ──

「まずはその彼氏を、ぶっ飛ばそうか」

　と、仏顔で言い放った。