御手洗くんと恋のおはなし


◇  ◇  ◇


 そんなことがあった翌日。
 満はいつも通り、電車で一緒になった和葉と登校をした。
 靴を替え、和葉をふと見ると何やら靴箱のフタを開けたまま固まっている。
 どうしたのか、と近づいた。

「カズ、どうしたの」
「み、みーちゃん……これ……」

 和葉の靴箱を覗いてみると、彼女のスリッパの上に何やらメッセージカードが乗せられていた。
 古典的ラブレター……というには、そのメッセージ内容は少し不穏で。


『和葉ちゃんへ
 御手洗満に要注意。
 その男にだまされないで。
 そいつは女と酒を飲む悪いやつです』


 パソコンで打ち出された文字に、満と和葉は顔を見合わせた。
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