御手洗くんと恋のおはなし
満は立ち尽くす和葉の前へと手を向け、差出人不明のカードを靴箱から取り出した。
「何、これ」
和葉の靴箱に入れられたメッセージカード。そこには満に関する忠告めいた内容が、印字されていた。
「さ、さあ?」
和葉は戸惑ったようにカードを受け取り、となりに立つ満をチラリと見上げた。
「みーちゃん、女遊びしてるの?」
「まさか。女の子の味方たる俺が、そんなことするもんか」
和葉はその言葉に納得して「だよねー」と笑った。しかし依然として、このカードが不審なものには変わりない。
「でも何だろ、これ。ちょっと怖いなぁ」
「カズのこと狙ってる、ストーカーまがいなやつかな。近くにいる俺が目障りだから、追い払おうって感じがする」
「す、ストーカー……」
ひく、と和葉の口端が引きつる。
安易に不安を煽るようなことを言ってしまった、と満は反省して、和葉を安心させるように仏の笑みを浮かべた。
「ごめん、怖がらせて。でもこれからちょっと、気をつけておいて」
「気をつけるって?」
「なるべく一人行動は避けて。俺も周り、気をつけて見てはみるけど」
由々しき事態が起きていると、満は気を引き締めた。
もともと男人気があった和葉だが、満がそばにいたためかあからさまにアピールする輩は少なかった。それなのにこんな風に、不穏な行動をするやつがいたなんて……。眉間にしわが寄りそうになる。
しかし和葉は反対に、満のその言葉を受けて、安心したようにふんわりと笑った。
「わかった。ありがとう、みーちゃん」
その笑顔が不意に可愛く見えて、満はドキッとする。
いつもは口を大きく開けて無邪気に笑うばかりなのに、はにかむ柔らかさは、和葉のまた違う魅力を引き出している。
(和葉のこういうところ、ずるいよな)
満は頭をポリポリと掻いた。早く教室に行こう、なんて取り繕う。
和葉に動揺したせいか、その背後で見張っていた者の存在に、満は気づかなかった。その人物は苦虫をかみつぶしたように呟く。
「……あいつやっぱり、邪魔だなぁ」
「何、これ」
和葉の靴箱に入れられたメッセージカード。そこには満に関する忠告めいた内容が、印字されていた。
「さ、さあ?」
和葉は戸惑ったようにカードを受け取り、となりに立つ満をチラリと見上げた。
「みーちゃん、女遊びしてるの?」
「まさか。女の子の味方たる俺が、そんなことするもんか」
和葉はその言葉に納得して「だよねー」と笑った。しかし依然として、このカードが不審なものには変わりない。
「でも何だろ、これ。ちょっと怖いなぁ」
「カズのこと狙ってる、ストーカーまがいなやつかな。近くにいる俺が目障りだから、追い払おうって感じがする」
「す、ストーカー……」
ひく、と和葉の口端が引きつる。
安易に不安を煽るようなことを言ってしまった、と満は反省して、和葉を安心させるように仏の笑みを浮かべた。
「ごめん、怖がらせて。でもこれからちょっと、気をつけておいて」
「気をつけるって?」
「なるべく一人行動は避けて。俺も周り、気をつけて見てはみるけど」
由々しき事態が起きていると、満は気を引き締めた。
もともと男人気があった和葉だが、満がそばにいたためかあからさまにアピールする輩は少なかった。それなのにこんな風に、不穏な行動をするやつがいたなんて……。眉間にしわが寄りそうになる。
しかし和葉は反対に、満のその言葉を受けて、安心したようにふんわりと笑った。
「わかった。ありがとう、みーちゃん」
その笑顔が不意に可愛く見えて、満はドキッとする。
いつもは口を大きく開けて無邪気に笑うばかりなのに、はにかむ柔らかさは、和葉のまた違う魅力を引き出している。
(和葉のこういうところ、ずるいよな)
満は頭をポリポリと掻いた。早く教室に行こう、なんて取り繕う。
和葉に動揺したせいか、その背後で見張っていた者の存在に、満は気づかなかった。その人物は苦虫をかみつぶしたように呟く。
「……あいつやっぱり、邪魔だなぁ」