御手洗くんと恋のおはなし
 この反応はもしかして、ティースプーン一杯分くらいの期待なら、持っていいのかもしれない。
 なんて満の顔つきが、見た目にはわかりづらいがだらしなくなる。

「……ねぇ、カズ」

 満は腰を上げ、和葉の前に立った。
 和葉はそんな満を見上げ、少しだけたじろぐ。

「な、何?」

 その様子を楽しみながら、満は微笑む。

「ちょっとカズに協力してほしいことがあるんだ」
「協力?」

 そして首をかしげた和葉に顔を近づけ、囁いた。

「カズにはちょっと……酷なことかもしれないけど」
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