御手洗くんと恋のおはなし
 突然の加寿子の問いに、和葉が大げさに首を振って、満は苦笑した。その二人の反応に加寿子は「あら、違うの?」と口に手を当てる。

「残念ながら」
「み、みーちゃんっ?」

 ふふ、と小さく笑い合う満と加寿子に、何だ何だと和葉は動揺する。
 しばし満と笑い合った加寿子は、ふいにベッドサイドに置いていた手帳を手にした。

「でも本当に驚いたわ」

 パラパラとめくり、途中のページに指を挟んで何かを抜き取る。

「みーちゃんは、みーちゃんにそっくりなのね」

 そうして差し出された一枚の写真。写っている人物を見て、満と和葉は驚いた。

「え……これ、みーちゃん!?」
「まさか」

 そこには、満よりやや年上に見える、スーツを着こなした好青年が笑顔で写っていた。
 その顔は仏のように穏やかで──満と瓜二つだった。
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