御手洗くんと恋のおはなし
Last Ep. 御手洗くんの恋のおはなし
御手洗少年が恋に落ちたのは、いつなのか。
その最大の謎を解くために挑んだのは、カウンター越しに座った常連客、赤井百合であった。
「いつ、と言われましても」
目を丸めた満は、キュキュッといい音を鳴らしてグラスを拭いた。
百合は、カクテルでほんの少し赤らんだ頬を緩ませ笑っている。
「覚えてないわけないでしょー、ほら、和葉ちゃんへの片想いのきっかけとかあったんでしょ?」
「ちょっと百合さん、声大きいです」
離れた位置にいるとはいえ、光一と同じカウンター内にいる満は慌ててしまう。
父親に恋愛話を聞かれることほど、息子として恥ずかしいことはない。
「あはは、満くん可愛いー」
「……百合さん、酔ってますね」
「酔ってないと、やってらんないのぉ」
語尾を伸ばしてカウンターテーブルに甘えるように突っ伏す百合。
そんな百合のとなりには、最近一緒に来るようになった若い男性が彼女の背中を撫でていた。
「赤井さん、大丈夫ですか?」
「うるさいナベケン! あんたのせいでダメになったも同然なんだから!」
「う、すみません」
眼鏡に天然パーマの男、渡辺賢介(通称ナベケン)は、気弱に謝った。
最近百合は、会社の後輩である彼をよく連れてくるようになった。面倒見が良い彼女にとって、同じ部署に初めてできた後輩は可愛かったのだろう。
そんな彼に、先輩である百合は容赦なく、ビシビシと愛のムチをおくる。
その最大の謎を解くために挑んだのは、カウンター越しに座った常連客、赤井百合であった。
「いつ、と言われましても」
目を丸めた満は、キュキュッといい音を鳴らしてグラスを拭いた。
百合は、カクテルでほんの少し赤らんだ頬を緩ませ笑っている。
「覚えてないわけないでしょー、ほら、和葉ちゃんへの片想いのきっかけとかあったんでしょ?」
「ちょっと百合さん、声大きいです」
離れた位置にいるとはいえ、光一と同じカウンター内にいる満は慌ててしまう。
父親に恋愛話を聞かれることほど、息子として恥ずかしいことはない。
「あはは、満くん可愛いー」
「……百合さん、酔ってますね」
「酔ってないと、やってらんないのぉ」
語尾を伸ばしてカウンターテーブルに甘えるように突っ伏す百合。
そんな百合のとなりには、最近一緒に来るようになった若い男性が彼女の背中を撫でていた。
「赤井さん、大丈夫ですか?」
「うるさいナベケン! あんたのせいでダメになったも同然なんだから!」
「う、すみません」
眼鏡に天然パーマの男、渡辺賢介(通称ナベケン)は、気弱に謝った。
最近百合は、会社の後輩である彼をよく連れてくるようになった。面倒見が良い彼女にとって、同じ部署に初めてできた後輩は可愛かったのだろう。
そんな彼に、先輩である百合は容赦なく、ビシビシと愛のムチをおくる。