罰恋リフレイン
Encounter
「ふざけんな!!」と6年前私を怒鳴った彼は数メートル離れたテーブルに座り、私に背を向けている。
『新郎新婦中学校友人』としてまとめられた円形のテーブルには彼以外に知っている人がいないことが余計に視界に入れてしまう。
高校の友人である香菜と香菜の幼馴染の高橋翔くんとの結婚式に招待されたけれど、私は『新郎新婦高校友人』の席に座り、彼とは席が離れた。
二度と会いたくなかった彼、夏城 蒼くんは香菜と翔くんの中学からの同級生だ。
香菜が私に気を遣って蒼くんと可能な限り席を離してくれた。本当は同じ空間にだっていることが怖い。でも香菜の結婚式に出席しないなんて選択をすることはできなかった。
披露宴では蒼くんと目が合わないよう意識して壇上の香菜たちと写真を撮って、二次会では会場の隅に立って目立たないようにしていた。
二次会は披露宴に出席していなかった高校の同級生も来ていて、ひと際賑やかになった。
蒼くんは私のことなんてこれっぽっちも気にしていないようなのが更に惨めな気持ちにさせる。
この中で私と蒼くんのことを知っている人はどれくらいいるのだろう。また私はコソコソと笑われるのだろうか……。
新郎新婦に関するクイズの時間が終わり、主役が会場から出て行くと嫌でも蒼くんが視界に入るようになった。最後に会ってから6年たって少し大人びた彼はあの頃と変わらず人に囲まれていた。
ふと蒼くんが私の方を見た。目が合ったと思った瞬間私は勢いよく目を逸らした。
どうしよう……目が合ったらまだ私が未練があるって思われちゃうかも……。