罰恋リフレイン
「久しぶりに聞いた言葉が謝罪ってマジかよ……」
顔を上げると蒼くんもなぜか泣きそうな顔をする。
「そんな言葉が聞きたくて追いかけてきたわけじゃない……」
自然と身構える。蒼くんに何を言えば解放してくれるのだろうか。
「俺は言い訳も本音もまだ何も薫に言えてない」
「もう気にしてないから……」
「気にしてない……か……」
蒼くんは複雑な顔をした。まだ何かを言いたそうにするから私は「じゃあこれで」と帰ろうとすると「待って」と言われて腕を掴まれた。触れられたことに焦って思いっきり腕を振り払った。
「っ……ごめん……」
手を振り払ったのは私なのに蒼くんの方が申し訳なさそうな顔になる。
「引き留めてごめん。でも俺は薫とやり直したい」
強くはっきりと言われて足が動かなくなる。
「やり直すって?」
「もう一度俺と付き合ってほしい」
驚いて目を見開いた。
「何……言ってるの?」
「ずっと薫を忘れられなかった」
「また罰ゲーム?」
思わず低い声が出た。そうして周りを見渡す。見える範囲に高校の同級生の姿は確認できない。
すると蒼くんの眉間にしわが寄る。
「もう罰ゲームじゃない! 俺は本気で薫とやり直したい!」
「やり直すって……私たち付き合ってなかったじゃん」
私の言葉に蒼くんは辛そうに唇をぎゅっと結ぶ。
「今もどこかで高校の人たち見てるの?」
「違う!」
「結婚式でみんなと久々に会って、また私をからかおうってなったの?」
「だから違うって!」
蒼くんの大声に体が震える。最後に会った時と同じように私を怒鳴りつけるから。
「ごめん……悪かった……」
距離を取ろうとする私に蒼くんは更に焦り始める。