エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「うう……ダメだ。本当に心臓がパンクしそう」
まさか、家の合鍵までくれるなんて。近衛先生がそこまで想ってくれているとは、思わなかった。
さらにこのあと、今以上に心臓を破裂させるであろう出来事が待ち受けているかもしれない。そう思ったら、身体を熱くせずにいられなかった。
……だけど、私だって家までついてきたんだもん。
ここまで来て、〝そういうつもりはありませんでした〟なんて言うつもりはない。
「……って、ダメダメ。意識したら余計にドキドキするだけだし、もう考えるの止め!」
私は自分の頬を両手でパチンと叩いた。
そして気を取り直すと、持ってきた保冷バッグの中から、タッパーをふたつ取り出した。
近衛先生は、キッチンを使っていいって言っていたし……。
図々しくもお言葉に甘えて棚からお皿を出すと、タッパーに入れてきた料理をそれらしく並べた。
「……何か作ったのか?」
そうして、近衛先生がシャワーから戻ってくるであろう時間を見計らい、温め直した料理をテーブルの上に置いた。