エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「それじゃあ、行ってきます!」
近衛先生と夢のような一夜を過ごしてから、早二週間が過ぎた。
だけどあれから、私と近衛先生は一度も会えていない。
理由は近衛先生の仕事が相変わらず忙しいことと、私が野原食堂で働きながら専門学校の入学試験に向けて勉強を始めたからだ。
寂しくないと言えば嘘になる。
でも、近衛先生は空き時間になると必ず連絡をくれるようになったし、できる限り電話ができるように努めてくれた。
「勉強で忙しいところ悪いわね、百合。お願いね」
「うん、任せて」
そう言うと私は、久しぶりに料理の入った配達用のバッグを背負った。
今日はタツ兄ちゃんが体調不良で休んでいるため、久しぶりに中央総合病院に出前を届けることになったのだ。
もしかしたら、出前のついでに近衛先生の顔が見られるかも……なんて。
ちょっとだけ期待もしつつ、私はひとりで野原食堂を出た。