エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
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「こんにちは! 野原食堂です。ご注文の品をお届けに来ました!」
久々に医局の前に立って声を掛ければ、今日も中から近衛先生の同期の坂下先生が顔を出した。
「おっ、百合ちゃんじゃん。久しぶり」
「はい、お久しぶりです。今日もご注文くださり、ありがとうございます!」
たった今持ってきたばかりの品物を渡しながら、私はついソワソワと近衛先生の姿を探してしまう。
「そういえば透と百合ちゃん、その後、何か進展あったの?」
「えっ⁉」
「いや、最近、やけに透の機嫌がいいからさ。仕事中は相変わらずポーカーフェイスのままだけど、ふいに見せる表情が前より柔らかくなったっていうか」
思わず頬が熱くなったのは、全く同じことを私も今日、野原食堂の常連さんに言われたからだ。
『百合ちゃん、なんか機嫌いいねぇ。最近いつもニコニコしてるし』
まさか、近衛先生も周りに同じように思われていたなんて……。
なんとなく、胸の奥がくすぐったい。