エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「ねぇねぇ、それで、ふたりって付き合ってるの?」
「い、いえ、それは私の口からはなんとも……」
「えー。でも、百合ちゃんが教えてくれなきゃ、透からは絶対教えてもらえないし。透って、そういうことは秘密主義なんだよね。まったく、俺は数少ない透の親友のひとりだってのにさぁ」
不満げにボヤいた坂下先生は、腕を組みながら眉根を寄せた。
そっか、近衛先生、坂下先生にも私たちのことは話してないんだ。
まぁでも、近衛先生だもんね。自分が誰と付き合ってるかとか、そんなことをペラペラ話すタイプではないだろうし、逆に近衛先生らしいかもしれない。
「本当にすみません。また私からお話できることがあれば、坂下先生にもご相談させてください」
そう言うと私は坂下先生からお代を受け取り、医局をあとにした。
エレベーターを待つ間、結局近衛先生には会えなかったなと、つい肩を落としてしまったけれど、こればっかりは仕方がない。
「あ……帰る前に、お手洗い寄ろうかな」
と、不意に思い立った私は近くのお手洗いに立ち寄ることにした。
だけど、中に入ろうとしたところで思いもよらない言葉が聞こえてきて、私は反射的に足を止めた。