エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「これって……まさか、本当に近衛先生の連絡先?」
改めて言葉にしたら、また心臓がドキドキと高鳴りだす。
こんなの、悪い冗談に決まってる。きっと、からかわれているんだ。
でも。でも、まさか本当に連絡してほしいってこと――? ううん、絶対、そんなはずない。
「乗りますか?」
と、メモ片手に立ちすくんでいた私は、不意に声をかけられてハッとして顔を上げた。
いつの間にかエレベーターが到着して目の前で扉が開いていた。
「す、すみません!」
私は慌てて中に乗っていた人に謝ると、震える足を前に進めた。
静かなエレベーターの中では、独特の機械音だけが鼓膜を揺らす。
そのままエレベーターはゆっくりと地上に降りたけれど、私は雲の上を歩いているみたいに足が地につかない状態だった。
「やっぱり、何かの冗談だよ。だって、こんなの有り得ない……」
メモを握りしめた手は震えている。
私は先ほど触れ合った手の感触を思い出しながら、熱っぽい息を吐いてまつ毛を伏せた。