エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「たしかに、たにぐっちゃんは昔から吹いてたかもなぁ。はい、日替わり定食一丁あがり」
「おー! 今日の日替わりには、ヒサちゃん特製の白菜漬けもついてるのか! 俺、これ好きなんだよなぁ。白飯にもよく合うし」
「ふふっ。谷口さんはいつもお世辞が上手よね。ほら、早く食べないと冷めちゃうわよ」
「ああ、そうだそうだ。んじゃ、いただきまーす」
パキンッ!と、割り箸が気持ちよく割れた音がする。
谷口さんは、ゲンちゃんの妻であり私の母でもある〝ヒサちゃん〟がよそったばかりの白いご飯を、口いっぱいに頬張った。
「ほら、百合。あんたはボーッとしてないで、五番テーブルのオーダーも取ってきて」
「あ、うん。今行こうと思ってたとこ」
「チッ」
エプロンのポケットから伝票を取り出せば、厨房に立つ父が私に対して小さく舌を打った。
……はいはい、わかってますよ。
父は私がこの店で働いていることが、不満なのだ。
だから今のように、少しでも注意を受けるとあからさまに顔をしかめる。