エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「こ、近衛先生? 今のはどういう意味ですか?」
尋ねたのは、タツ兄ちゃんだ。
対する近衛先生は、「そのままの意味です」とだけ言うと、また小さく笑った。
「そ、そのままの意味って……」
「ちょ、ちょっと失礼します! 近衛先生、少し、お店の外に来ていただけますか!?」
このまま静観していたら、何かとんでもないことになる予感がした。
だから私はタツ兄ちゃんの言葉を遮ると、近衛先生に店の外に出るように促した。
近衛先生は素知らぬ顔でついてきてくれたけど、どうしてか目は笑っていない。
「こ、近衛先生! お店で悪い冗談を言うのはやめてください!」
お店の外に出て開口一番。私は先生に詰め寄った。
「せ、先生があんなふうに言ったら、常連さんたちにも家族にも、変な勘違いをされてしまいます!」
「それに、何か不都合なことでもある?」
「え……?」
「百合目当てで店に通っている奴もいるとか言われてたな。だったら、俺は今のうちに、しっかり牽制しておくべきだろう」
思いもよらない返答に、私は驚いて目を見張った。
もう、意味が分からない。
何故か苛立っている様子の先生を前に、私は首を傾げるしかなかった。