エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「あ……。だ、大丈夫です! 助けてくださって、ありがとうございました!」
そう言うと私は、慌てて距離を取ろうとした。
けれど離れようとした私の身体を、近衛先生は強く引き寄せて離さなかった。
「こ、近衛先生……?」
「ハァ……。こうして百合の肩を抱いていなければ、俺はあいつの胸ぐらをつかんで引き倒していたかもしれない」
「え……?」
「壁際に追い詰められていた百合の表情が、ひどく怯えてたものだったから……。まぁ、いい。これから少し、話せないか? ちょうど、休憩に入るところだったんだ。今の件も含め、少しふたりきりで話がしたい」
熱のこもった眼差しを向けられ、また胸の鼓動が音を立てた。
近衛先生のその提案を断るという選択肢は今の私にはない。
だから私が頷けば、近衛先生は小さく笑って私の手を引き病院外に出ると、道路をひとつ渡った先にある駐車場へと向かった。