エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「ふたりきりで話せるところが、ここしか思いつかなくて、すまない」
「い、いえ。でも近衛先生は、病院を離れてしまって大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫だ。今日はもともと非番だったし、これから二時間ほど車で仮眠を取ると坂下に言って出てきたところだったんだ」
「そうだったんですね……」
「ちょうど、百合と入れ違いで医局に戻ったんだよ。まぁ、何かあれば電話がかかってくるはずだし、それまではゆっくり話もできる」
そう言うと近衛先生は、カシュッ!と気持ちの良い音を立てて缶コーヒーの口を開けた。
ほろ苦いコーヒーの香りが鼻孔をくすぐる。
ドキンと胸が鳴ったのは、改めて私は今、近衛先生と狭い車内にふたりきりだということを意識してしまったからだ。