エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「ひ、非番って、お休みだったってことですよね? もしかしてまた、緊急手術が入ったとかですか?」
「いや、今回は昨日の夜から今朝にかけて病状の気になる患者さんがいて、病院に泊まったんだ。でも、その患者さんの様子がようやく落ち着いたところで別件のカンファレンスに呼ばれて……。で、今に至るって感じかな」
言いながら近衛先生は、缶コーヒーに口をつけた。
つまり、近衛先生は昨日からずっと働き詰めということだ。
……お医者さんって、本当に、すごく忙しいんだ。
近衛先生、ちゃんと睡眠も取れているのかな?
本来なら今の時間も、ちゃんと仮眠にあてるべきなのに、私と話なんてしていて大丈夫なんだろうか。
「本当にお疲れ様です。貴重な休憩時間を、私に割いていただいてもいいんでしょうか?」
「貴重な休憩時間だからこそ、俺は百合のために使いたいんだけど?」
「え……」
「本当はあの場に居合わせたのは偶然じゃなくて、百合が五分前に医局に来たって聞いて、急いで追いかけてきたところだったって言ったら……百合は、どうする?」
「ど、どうするって……」
「一秒でも早く百合に会いたくて、白衣を置いてくることも頭から抜けていた。おかしいだろ?」
ハンドルに片肘を載せ、私の反応を窺うように見る近衛先生を前にしたら、自分の心拍数が上昇するのがわかった。