エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「じょ、冗談……ですよね?」
「残念ながら、貴重な休憩時間に冗談を言って時間を潰す趣味は俺にはないよ。一週間ぶりに会えた想い人が相手なら、尚更だ」
「想い人って──」
続く言葉は喉の奥につかえて出てこなかった。
近衛先生の熱っぽい目は、真っすぐに私を捉えて離さない。
私は思わず手の中のココアを握りしめて、息をのんだ。
近衛先生の真意が、私には掴めない。
「で、俺は今言ったとおり、回りくどいことはしたくないから単刀直入に聞かせてもらう。さっきの奴は何? まさかストーカーとか、その類の人間?」
言葉と同時に缶コーヒーをホルダーに置いた近衛先生の手が、膝の上に置いていた私の手に重なった。
私は思わずビクリと肩をゆらして、まだ口を開けていないココアの缶を持つ手に力を込めた。
手に感じる熱は缶の温度なのか、それとも怒りを含んだ近衛先生の手が熱いせいなのか──。
握りしめた手のひらは、じっとりと汗をかいているのが自分でもわかった。