エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「ふ……っ、んんっ」
近衛先生のキスは、初めてなのに優しいキス──とは、言えなかった。
拒絶は許さないと言われているような。近衛先生らしくない、ほんの少し乱暴で、扇情的かつ蠱惑的な、砂糖菓子みたいにとろとろに甘いキスだった。
「せ、せん、せい……っ。苦し……っ」
「マズイな、止まらない」
「あ……、ん……っ」
「百合のその表情、もっと欲しいって強請ってるみたいで、たまらない」
その言葉を合図に、また深く唇が重なった。
何度も何度も角度を変えて交されるキスに、だんだんと何も考えられなくなっていく。
熱いのは私の身体が火照っているからなのか、それとも、近衛先生の唇が熱っぽいのか──。
……ああ、ダメだ。
こんなの、自覚するなと言うほうが無理だよ。
こんなに素敵な人から告白をされて、こんなに情熱的なキスまでされて……。
私も近衛先生が『好き』だと、自覚しないでいるほうが無理だった。