エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「……そういう顔をされると、余計に離れ難くなるな」
「へ……?」
「仕事に忙殺されていて、なかなか連絡もできなくて、本当にごめん。でも次の休みこそ、ふたりでどこかに出かけよう。百合と休日を過ごしたい。約束だ」
やわらかな笑みを浮かべてそう言った近衛先生は、「それじゃあ」とだけ言い残して、颯爽とその場から去っていった。
残された私は放心状態で、病院の方へと消えていく背中を見送ったあと、ヘナヘナとその場に膝をついた。
「う、嘘みたい……」
何気なく触れた唇は、まだ熱い。
身体に残る熱は甘くて、今さら腰が抜けた私はしばらく立ち上がることができずに、しゃがみこんでいた。