エリート外科医の灼熱求婚～独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい～

　

「お母さん……私……」

「お父さんは、ああ言ってたけどね。別に、百合が今、誰と恋愛しようがそれはあなたの自由。あんたが無責任に仕事を放棄して帰ってくるような子じゃないってことは、私もお父さんもちゃんとわかってるんだから」

「え……？」


　お母さんは、私を見て目尻を下げた。

　反対に私は、強張っていた肩から力が抜けた。


「百合は何も言わなかったけど、本当は前の会社で何か理不尽に思うようなことがあったんでしょう？　そうでなくとも何かあったんだって、それくらい、言われなくても親なんだから、あんたを見てたらわかるわ」

「お母さん……」

「お父さんもね、口ではいつも文句ばかり言ってるけど、ちゃんとわかってるのよ。でも、百合が何も言わないから寂しくて、ちょっと拗ねてるだけなの。本当、困った人よねぇ」


　愛のある母の言葉に、胸がギュッと締め付けられた。

　タツ兄ちゃんだけじゃなかった。お母さんもお父さんも、気づいてたんだ……。