エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「もしかして、まだ病院ですか? 疲れていると思いますし、気をつけて帰ってくださいね」
私はそれだけ伝えて電話を切るつもりだった。
だけど受話器の向こうの近衛先生は、『待って』と私を止めると、思いもよらない言葉を口にした。
『今から、少しだけでも会えない? これから、百合のことを迎えに行くから』
「え?」
耳元で囁かれた甘い誘いに、思わずゴクリと喉が鳴る。
これからって……本当に?
時刻はもう、二十時をまわっている。
食事に行くにしてもレストランはラストオーダーに間に合うかどうか……。何より私、もうスッピンにパジャマだし。
「す、すみません。私、実はたった今、お風呂に入ったばかりで……」
正直に今の状況を伝えてみた。だって、病院から野原食堂までじゃ、車で五分もかからない距離だ。
今から支度したところで、万全の状態に仕上げるには無理がある。
だけど、私の言葉を聞いた近衛先生は、また予想外のことを口にした。