エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
『別に、問題ないよ。だけど……今の言葉は、俺以外の男には絶対に言わないように』
「え……」
『っていうか、もう、こうして話している時間も惜しい。……そうだな、一応、百合の準備の時間も考えて十五分後に。車で迎えに行く』
「え……ちょっ、近衛先生!?」
一方的にまくし立てた近衛先生は、それだけ言うと本当に電話を切ってしまった。
う……嘘でしょ!?
慌てて折り返そうか悩んだ。だけど折り返したところで近衛先生が意見を曲げるとは思えなくて、私は携帯電話をギュッと胸に抱き寄せた。
どうしよう。どうすればいいのかな。
これからデートだなんて、心の準備ができていない。
だけど……私も、近衛先生に会いたかった。近衛先生が会いたいと言ってくれて、嬉しかった。
「……っ」
ドキドキと高鳴る鼓動と、紅潮した頬はお風呂あがりだからというだけが理由じゃないことくらいわかっている。
「そ、そうと決まれば、急いで支度しなきゃ……!」
タイムリミットは十五分。
急いで脱衣所を飛び出した私は、夕方に脱いだワンピースに袖を通した。
髪は……もう、巻く時間はないからお風呂あがりのストレートのままで行くしかない。
とりあえず必要最低限のメイクだけして、身支度を整えた。