エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「あ、ありがとうございます」
「こちらこそ。そのワンピース、百合によく似合ってる。百合はいつも綺麗だけど、今日は特別綺麗に見えるよ」
なんて贅沢なリップサービスだろう。
黒のタートルネックにチャコールグレーのチェスターコートを着た近衛先生のほうこそ、今日も見惚れるほど素敵な男性だ。
もう、近衛先生と目が合っただけで心臓が口から飛び出そうなほどドキドキした。
私が助手席に乗り込んだ後、運転席に座った近衛先生は、ふいに私の手に自分の手を重ねた。
「今日は迎えに来るのが遅くなって、本当にごめん。……百合、会いたかった。好きだよ」
甘く掠れた声で囁かれ、もう近衛先生から目がそらせなくなる。
ああ、ダメ。私も、近衛先生のことが好き。
近衛先生の長い指が、まだほんの少し濡れている私の髪をすくって弄ぶ。
たったそれだけのことで、胸が締めつけられたみたいに、キュンと甘く高鳴った。
「こ、近衛先生……くすぐったいです……」
「……マズイな。会って、百合の顔を見たら帰るつもりだったけど、帰したくなくなってきた」
髪に触れた手が耳に触れ、今度は頬に滑らされる。
熱っぽい目に捕えられたら、もう逃げられない。
私は思わず頬に触れた近衛先生の手に手を重ねると、そっと頬をすり寄せた。