エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「ここって、部屋は何部屋あるんですか?」
「このリビング以外に、あっちに書斎になっている部屋がひとつと、寝室が一部屋。あとはバスルームだから、そこまで広いわけじゃないよ」
「そ、そんな……十分、広いです。近衛先生、ここにひとりで住んでるんですか?」
「それはそうだろ。まぁ、ここには寝に帰ってくるようなものだし、必要最低限の暮らしができればいいと思っているから、あまり生活感はないかもしれない」
確かに、そうかも。
キッチンを見ても使われている形跡はあまりないし、全体的に物の数が少ない気がする。
「でも、家にこれだけ広いキッチンがあるって羨ましいです」
「そう? そう思うなら、これからは百合の好きに使ってくれていいよ」
「え……?」
一瞬、何を言われたのかわからなくてキョトンとしてしまった。
するとそんな私を見て近衛先生はフッと口元を緩めると、ジャケットを腕にかけたまま身をかがめて、私の唇に触れるだけのキスをした。
「あとで、百合がひとりでもここに入ってこられるようにカードキーを渡しておくから」
「えっ!?」
「とりあえず、先にシャワーだけ浴びさせて。百合はもう一度、俺と一緒に入ってくれてもいいけど、無理なら適当にくつろいでくれていていいから」
口端を上げて爆弾発言を落とした近衛先生は、固まる私を見て面白そうに笑ったあと、ひとりでバスルームに向かっていった。
い、今のって……。もう、いろいろ頭がついていかない。