クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
プロローグ
力尽きたように私の肩に頭をぽすっと乗せた彼は、小さく息をついた。
どうして私は好きな人に寄りかかられているのか。突然のことに思考が追いつかない。
「遥人さん?」
首を捻ると、彼の髪が私の火照った頬に触れてくすぐったい。
「白峰さんには、あんな男よりもっと相応しい人がいるよ」
私の傷口をそっと舐めるように、遥人さんは優しい声音で諭す。
「あ、あの」
心臓がドクンドクンと大きく高鳴っている。声が上擦って、言葉が喉を通っていかない。
「たとえば、俺みたいな」
頭を起こした遥人さんから真剣な眼差しを注がれて、胸がぎゅうっと締めつけられて痛くなった。
好きになってはいけない。遥人さんを諦めようとしているのに、そんな無責任な台詞を吐かないで。