クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 満面の笑みを浮かべる姉に見送られて、私たちは初めてのデートに出かけた。

 まず向かったのは郊外の海が見えるレストラン。

「ドライブが好きだから、たまにこうして遠くの店に行ったりするんだ。もちろん独りだよ」

「寂しくないですか?」

「独りで行動するのが好きだからね。でも小春は別だよ。許されるなら二十四時間、三百六十五日一緒にいたい」

 元々柔和な態度で甘い囁きをする人だったけれど、想いが通じ合ってからはストッパーが外れたかのように糖度が増している。

 そして肌が赤く色づいている私を見て楽しげにするあたり、確信犯だと思う。

 小一時間ほどして着いたカフェは、森に囲まれていて落ち着いた雰囲気があった。二人掛けソファのあるテラス席からは海が一望でき、風邪に乗って運ばれる潮の香りが非日常的な空間を演出している。

「綺麗……」

 感嘆の溜め息を漏らすと、隣で遥人さんが息を空気を震わすように笑う。
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