クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 この調子だと、きっと妊娠検査薬を買うのも戸惑ったに違いない。

 時間を巻き戻して、最初から小春に寄り添えたら……。

 そんなあり得ない発想をする自分にこっそり息をつく。小春がかかわると俺は時折冷静でいられなくなる。

 この日は顔を真っ赤に染め上げて断固拒否をする小春を言いくるめ、一緒にお風呂に入った。

 もし浴室で足を滑らせたら危ないだろう。

 風呂から上がったら小春にカーペットの上に座ってもらい、後ろに回ってドライヤーで髪を丁寧に乾かした。

 最初は気後れしていた小春だったが、次第に気持ちよさそうに目を閉じた。

 こうして俺に気を許している姿を見るのは心地いい。

 小春の心情を考えると、子供についての話題は病院の検査結果を聞いてからの方がいいだろう。

 身体がまだ温かいうちにベッドに入り、この日は多くを語らずに眠りについた。

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