クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
翌日の夕方、久しぶりにロイヤルライフ星が丘の従業員用駐車場で小春を迎える。
まだ一年前の出来事なのに懐かしい。あの日々の記憶が遠くへ追いやられるほど、俺たちは新しい思い出を刻んできた。
予約を入れていたので小春は診察室へすぐに通された。
妊娠週数が進むと腹部エコーというものになるらしいのだが、この病院では、腹部エコーからでないと夫であっても診察室に入れないらしい。
だから今日は待合室から何事もないのを祈るしかない。
ほどなくして、口をキュッと引き結んだ小春が診察室から出てきた。
手になにやら持っている。
俺の視線に気づいた小春は、椅子に腰かけるよりも前に、俺にそれを手渡した。
「もうすぐ六週だそうです。心拍も確認できました」
胸にグッとくるものがあり、俺はなにも言えないまま手元の紙に視線を落とす。
隣に寄り添うように座った小春から、これはエコー写真で、この白い点が胎児の心臓だと説明を受けた。
そこでようやく肩から力が抜ける。