クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
近づくふたり
別れから一週間経過した。その間、元恋人から連絡が入ることはなかった。
それなのに何度もスマートフォンを確認する自分を情けなく思う。
彼はほんの少しも私を思い出したりしないのかな。
今日は遅番だから十時より出勤だ。早番は七時からの勤務なので、早朝と違って陽の光に強さがある。
姉とふたりで暮らしているマンションから職場まで自転車で二十分。
実家は少し離れた場所にある。私の就職が決まったタイミングで、姉にルームシェアをしてほしいと持ちかけた。
車の免許を持っていないからどうしようもないけれど、出勤前に汗だくになるのは考えものだ。せめて原動機付自転車の免許は取得しようかな。
ロイヤルライフ星が丘の建物が視界に入り、あとひと息というところだった。
曲がり角を右に行こうと、自転車を傾けた私の視界に小さな女の子が突然入り込む。
ぶつかる!
咄嗟の判断で自転車を右側に倒した。
バランスを崩した身体が道路に叩きつけられる。恐怖で目を瞑った身体に激しい痛みが走った。