クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 遥人さんは手を肩から下に移動させて、私の腰をぐっと自分に引き寄せた。逞しい身体は温かくていい匂いがする。

「遥人さん、やめてください」

「嫌ならもっと、本気で抵抗してごらん」

 私の頬をするりと撫でた長い指が顎を掴む。

 もったいぶるように近づいてきた形のいい唇を、さっと避けた。怖くて遥人さんの顔は見られない。

 キスしようとしたよね?

 震える手で遥人さんの胸を押し返して距離を取る。

 どうしよう。このまま逃げる?

 たくさんの感情がない交ぜになって、頭が激しく混乱している。

 だけどこれが最後になるのなら、きちんと話をした方がいいはずだ。
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