クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「勝手なことをして申し訳ないけれど、明日からの一週間は早番にしてもらった。七時から十六時だそうだね。それなら俺も都合がつくから、白峰さんの送り迎えができる。多少時間がずれ込んでも、俺の仕事はある程度融通がきくから問題ないよ」

 遥人さんは営業マンかなにかだろうか。時間に融通がきく職業はそれくらいしか思い浮かばない。って、そうじゃなくて。

「さすがにそこまでしていただけません」

 だって遥人さんには家族がいる。とくに奥さんは、この話を聞いて首を縦に振るはずがない。

「でも後から痛みが出てくる場合もある。なんとなくだけど、白峰さんってそういうのを隠し通そうとしそうだから。そばで見守りたい」

 遥人さんはごく普通に会話をしているのだろう。けれど『そばで見守りたい』だなんて、私にとっては甘すぎて胸やけする気遣いだ。

「無理はしません。だから……」

「はるくん!」

 続きは女性の大きな声で遮られた。何事かと周りに視線を走らす。するとこちら目がけて猛ダッシュしてくる背の高い女性の姿が。

 一目見て、すぐに結愛ちゃんのお母さんだと分かった。
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