クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「別に車を運転できなくても、困っていないだろう。それに今はやめた方がいい」

「それはそうだけど……って、白峰さんごめんなさい。話が脱線したわね」

 伶香さんは整えられた眉を下げて苦笑する。

「白峰さんは、はるくんが送迎することに問題はない? 無理強いをするつもりはないから、断ってくれていいのよ」

 これは遠回しに、断ってほしいと言われているのだろうか。

 伶香さんからはまったく邪気を感じない。しかし普通に考えて、遥人さんの申し出は非常識だ。

「お気持ちはありがたいのですが、本当に私はひとりでも大丈夫です。姉と一緒に暮らしているので、いざとなれば姉に頼ります」

「無理は禁物と医師から言われている」

 私の声に重なるように、遥人さんは強い口調で言う。

 正義感が強い人なのかな。でも……。
< 36 / 165 >

この作品をシェア

pagetop