クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい

「事故の直後、結愛を気遣ってくれただろう。自分が辛い時でも相手を思いやれるのは、誰にでもできることじゃない」

「いえいえ、そんなっ」

　過大評価を受けて、戸惑いながら胸の前で手を振る。

「結愛ちゃんはそろそろ自転車に乗りますよね。今日の出来事のせいで、怖がったりしなければいいんですけど」

「そこは俺もフォローするよ。前から気になっていたんだけど、白峰さんは子供の扱いに慣れているね」

「友人に三歳の子供がいるんです」

「へえ。ご友人は白峰さんと同い年？」

「そうです。高校を卒業して、すぐに就職して。社内恋愛ですね」

「若いのに偉いな」

「そうですよね。私も子供は好きですけど、自分がまだまだ子供なので、育てる自信はないです」

「そう？　白峰さんはしっかりしているし、愛情深いし、いいお母さんになると思うけど」

「……ありがとうございます」

　遥人さんの穏やかな話し方は、真綿で包み込むような柔らかさがある。

　世の中にこんなに素敵な男性が存在しているのが、にわかに信じられない。彼のような存在は希少だろう。