クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
気になる存在【side Haruto】
仕事とプライベートのスマートフォンは使い分けている。
珍しくプライベート用が着信を知らせたので、もしかしてと浮き立つ心で手に取ったのだけれど。
電話をかけてきた相手が、白峰さんではなく四つ上の兄、陸だと分かって落胆した。
まあ、白峰さんがかけてくるわけないか。
会社の副社長室。俺の仕事場である場所で、盛大な溜め息をついて「はい」と電話に出た。
『伶香から、面白い話を聞いたんだけど』
舌打ちをしたくなるのを堪えて平静に受け答えする。
「なに?」
『遥人が恋をしているって』
余計な告げ口を。
目を瞑って、椅子の背もたれに体重を預けた。
『黒髪で、色白で、童顔で、目が大きくて、あとなんだっけ。ああ、そうだ。背が低くて、華奢で、守ってあげたくなるような可愛い女の子って本当?』
間違いなく白峰さんについてだ。