クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 動揺を隠して平静な態度で返す。

「俺は家でのんびり読書したり、映画を見たり、外で美味しいものを食べたり、どこかへ出かけるのも好きかな」

 だから白峰さんの好むデートができるはず。一応、そんな意味合いを込めた。

 けれど彼女から反応は返ってこない。

 恋人がいるわけだし、プライベートについてあれこれ聞くと警戒されるだろうか。でもこれくらいなら問題ないと思うのだけれど。

 ロイヤルライフから白峰さんの自宅まで車で十分ほど。あまりにも短い。せめてこの送迎をしている間に距離を詰めたいところなのだが。

「白峰さん」

「はい?」

「今回のお詫びと言ってはなんだけど、食事をご馳走させてほしい」

「そんなっ。そこまでしていただくわけにはいきません!」

 白峰さんは首を横にブンブンッと振る。

「でも俺の気が済まないんだ」

 真剣さを滲ませると白峰さんは言葉を失う。

「ダメかな」

「……伶香さんがなんと言うでしょうか」

「伶香?」

「はい」

 白峰さんの言わんとすることが分からない。伶香がなんだと言うのか。
< 61 / 165 >

この作品をシェア

pagetop