クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
重なる誤解
遥人さんに家まで送ってもらった後、肩が痛くて動く気になれずリビングのソファにだらしなく寝そべってテレビを眺めていた。
昨日の今日だから痛いのはあたり前。だけどこのまま痛みが治まらなかったらどうしようと不安になる。
あと少しで十八時になるところで汗だくの姉、秋乃が帰宅した。
「ただいま。調子はどう? 私も今日はさぼらせて。カツ丼買ってきた」
慌ただしく言いながら、リビングの丸い座卓の上にお弁当屋の袋を置く。
「ありがとう」
姉は「あっつー」と言いながら扇風機の前に座った。
普通自動車免許を持ってはいるものの、車を所持していない姉は私と同じく自転車で通勤している。
先にシャワーを浴びたいという姉を待ってから、カツ丼を温め直してテーブルの前に座った。
姉は冷蔵庫から出してきたばかりの冷えた缶ビールを手にしている。私は痛め止めを飲んでいるので遠慮しておいた。
「私も宝生さん見たかったなあ」
「宝生さんがお姉ちゃんに挨拶したいって言ってたよ。断っておいたけど」
「なんで! 会いたいのに!」
「だって余計に気を使わせちゃうじゃない」
姉は納得がいかない様子でカツ丼を頬張る。