褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
アイコンタクト


「ただいま~」

「おかえり~」



中学の卒業式を終えて帰宅すると、玄関のたたきに知らない男物の靴を見つけた。


誰か、来てるの……?


少し緊張しつつ、自分の部屋がある2階へ向かう。



「あぁちょっと待って!」



階段を1段登ったところで母に呼び止められた。



「ちょうど良かった。今お兄ちゃんのお友達が遊びに来てるから、これ持ってって」

「えぇ……なんで私が……」

「今晩ご飯の準備してて忙しいの。お願い!」

「はーい……」



お菓子とジュースとコップが乗ったおぼんを渡され、渋々返事をして2階へ。


兄の部屋のドアの前に立つと、扉の向こうから笑い声が聞こえてきた。


……大丈夫。渡したらすぐ出ていけばいい。



──コンコンコン。



数回深呼吸して胸のドキドキを落ち着かせ、ドアをノックした。



「はーい!」

「……お菓子持ってきたよ」



ハキハキした兄の返事が聞こえたのを確認し、恐る恐るドアを開けた。
< 1 / 264 >

この作品をシェア

pagetop