褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
ダブルブッキング
「それで、デートはどうだった?」
「楽しかったよ。服の話で盛り上がってね……」
8月最初の登校日。
可南子と一緒に宿題のプリントを解きながら振り返る。
……デートじゃないんだけどな。
と思いつつも詳細を話した。
余計な心配をかけたくなかったので、小山先輩と会ったことは伏せておいた。
「体型カバーできるコーディネートを考えてくれることになったの」
「うわぁ〜! さすが先輩! かっこいい〜!」
「ちょっ、声大きいって」
宿題そっちのけで興奮し出した可南子。
なんとか落ち着かせたけれど。
「着たい服の希望聞いてくれて、相談にも乗ってくれて……。もうそれさ、実玖に気があるんじゃない⁉」
「ええっ⁉」
プリントに答えを書き込む手が止まる。
いやいや、先輩はみんなに優しいだけだって!
着たい服も、モデルさん全員に聞いてるって言ってたし!
「ないない! 先輩は平等に接してるだけだよ!」
「そうかなぁ〜? 話聞いてたら実玖にだけ特別扱いしてる感じがするんだよね~」