褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません


風紀検査とホームルームが終わり、午前中で学校が終わった。

今日は部活があるとのことなので、久しぶりに美術部に足を運ぶことに。



「もうね、怖くて途中から薄目で観てた」

「わかります! 直視できないですよね」



絵を描きながら雪塚先輩と夏休みの話で盛り上がる。


先月末、友達に誘われてホラー映画を観に行ったという。
だけど、観たことを心底後悔するほど怖かったそうで……。

一緒に行った友達は、その後数日間恐怖で熟睡できなかったらしい。



「もう2度とホラー映画は観ないと誓ったよ」

「ですね……」



先輩はというと、数日間食事がのどを通らなくなるくらい引きずったと。

ホラー映画は安易な気持ちで観るものじゃないな。



「この前西尾くんと出かけたって聞いたんだけど、草山さんから何も言われてない?」

「はい。今日トイレで会ったんですけど、挨拶しただけで何も言われませんでした」



そう返すと、先輩はホッとした顔を見せた。

実は雪塚先輩も兄と同じく、西尾先輩と話しただけで睨まれたことがあったそうだ。
< 150 / 264 >

この作品をシェア

pagetop