褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「ふーん」



なんとか誤魔化すことができ、胸を撫で下ろす。

アイスの棒がゴミ箱へ投げ捨てられると。



「あのさ、この際だからハッキリ聞くけど……実玖のこと、どう思ってる?」



真っ直ぐと俺の目を捉える瞳。
おふざけなしの真剣な声のトーン。

その声からは、大切な妹を思いやる家族愛を感じた。



「……好きだよ。人としても、1人の女の子としても」



元々景斗から、顔が似ていない妹がいると聞かされていた。


よく口喧嘩してるって言ってたから、妹もキツい性格なのかなって勝手に想像してたけど……。

会ってみたら景斗とは正反対で、おとなしくて、人と話すのが苦手そうな印象だった。


仲良くなりたかったのは、友達の妹だからなのもあるけれど、純粋に彼女の笑った顔が見たいと思ったのも1つの理由である。



「そう。いつから好きだったの?」

「わかんないけど……ドキドキするようになったのは、デートを勧められてからだったかな」



既に、ひたむきに頑張る姿や優しく気遣う姿に惹かれていた。

多分、心が大きく動いたのは、デートを勧められた約1ヶ月前。

実玖ちゃんが自分のことを尊敬していると、景斗から聞かされた時だ。
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