褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
あの時は元気を奪ってしまった罪悪感もあったけど、外見だけじゃなくて内面も見てくれていると知って、すごく嬉しかった。
意識し始めたのは、実玖ちゃんの前でデートと口走ってしまった時。
それ以来、ふとした時の笑顔や照れた顔に胸が高鳴るようになったんだ。
「マジで? デートって単語だけで意識し始めたわけ?」
「……悪いかよ」
「いや、よく可愛いねって言ってるわりにはウブだなぁって」
俺は小さい頃から父の影響で人を褒める癖がある。
『その髪型かっこいいね!』『字、綺麗だね!』『足速~い!』などの、目に見える部分はもちろん。
『覚えるのが早い』『話が面白い』といった内面まで、ことあるごとに褒めていた。
純粋に素敵だなって感じたから褒めているんだけど……景斗には軽々しくてお世辞っぽく聞こえるらしい。
「あ、でも実玖以外の女子にも可愛いって言ってるよな?」
「うん。でもそれは、服とか持ち物に対して言ってるだけで。実玖ちゃんは……その……」
上手く言葉が出てこない。
見た目も性格も、名前も声も表情も。
ピュアな反応も描く絵でさえも……全部可愛い。
つまり……。