褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「存在が可愛い、というか……」
「そ……⁉」
思考を巡らせたけれど、言い表すピッタリな言葉が見つからなかった。
口を「そ」の形にしたまま絶句している景斗。
あぁ聞こえる。
おいおいマジかよ。あの女慣れしてる東馬が、存在が可愛いって⁉
という、動揺する景斗の心の声が聞こえる……。
「そ、そうか……存在、か……」
昨日からかってきたくせに挙動不審になりすぎだろ。
まさかここまで好きだとは思ってなかったんだな。
「でも、告白はしないよ」
「えっ、なんで」
「……俺と付き合っても幸せになれないから」
中学時代、俺は告白されて3人の女子と交際したことがある。
最初に付き合った子は、同じ小学校出身のクラスメイト。通学路が一緒で他の女子よりも仲が良かった。
一緒に登下校したり、勉強したりして楽しく過ごしていた。
しかし──付き合って1ヶ月経った頃に、いきなり別れを切り出された。
その後、すぐに彼女は転校。
別れの挨拶はできたものの、その日を最後に彼女とは疎遠になってしまった。