褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「バカ! 実玖が嫌な思いをするって決まったわけじゃねーだろ! 気持ちを押し殺すな!」



顔を上げると、景斗の目が少し充血している。



「俺も実玖が傷つくのは見たくない。けど、東馬が苦しんでいるのも見たくない」



「だから諦めんな」と励まされた途端、景斗の目からポロッと涙がこぼれ落ちた。

ティッシュで涙を拭う姿に再び胸が締めつけられる。


景斗は俺の弱いところもダサいところも全部受け止めてくれて、こうやって励ましてくれたり叱ってくれる。

泣いてまで応援されたら……諦めちゃダメだな。



「……ありがとう」

「ん。頑張れよ。何かあったら相談に乗るからさ」



相変わらず頼もしいな。
優しさに浸っていたけれど、ふと気づく。



「っていうかさ、これ、実玖ちゃんに聞かれてない? けっこう声大きかったと思うんだけど」

「大丈夫! あいつ勉強する時耳栓してるから! バレてないから安心しろ〜!」



耳栓……確かに、この声量はちょっと耳障りかも。
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