褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「それで雪塚さんが帰った後、すごく寂しそうな顔しててさ~」

「へぇ……」



姿が見えなくなるまで手を振っていた景斗。

部屋に戻ってからも、『夏痩せしたのかなぁ……』と心配していた。


微々たる変化に気づくとは……やっぱりよく見てるだけあるな。仲良しなのに全然気がつかなかった。



「……清水さんとは何話したの?」

「あぁ、そうだねぇ……」



振り返ってみたら、あまり実玖ちゃんと話してないなぁ。

宿題の話してる時も食事の時も、全然しゃべらなかったし。1人だけ年下だから気を遣ってたのかも。


唯一話したのは……。



『ひゃあ! 何するんですか……っ!』

『おはようございます、朝ですよっ』



真夜中と朝の出来事が甦ってきた。


あの時、下の名前で呼ばれてたんだっけ。
寝ぼけてたし、突然だったからあまり覚えてないんだよね。


もったいないことしたなぁ……。



「西尾くん……?」

「あっ、えっとね……」



草山さんの顔が険しくなっていく。

早く言わなきゃ。怪しまれちゃう。


でも、言える話がない。

草山さんとはわりと長い付き合いだけど、さすがに夜中と寝起きの話はちょっと……。
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