褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「……あっ、景斗と雪塚さんの話! 好きなのバレバレだよねって」

「あー、やっぱ妹さんも気づいてたんだ」



眉間にシワが寄っていた彼女だったが、少し表情が和らいだ。

ふぅ、なんとか切り抜けた。


……結局景斗と雪塚さんの話しかしてないじゃん。
もっと他にもネタあっただろうに。



────
──



「ただいま~」

「あら、おかえり」



帰宅して玄関のドアを開けると、ちょうど母が靴を履いているところに出くわした。

身なりからすると、これから仕事に行くようだ。



「今日はちょっと遅くなるから。あとはよろしくね」

「はーい、了解でーす」



返事をし、靴を脱いで上がろうとすると、「あ、そうだ」と呼び止められた。



「来週、進路講演会で学校にお邪魔することになったから。ウォーキング練習も来週から始める予定だけど、帰ってから詳しく話すね」

「はーい」



講演会……は、卒業生が進学や就職活動の体験談を話すんだったっけ。

今年はお母さんが参加するのか。


「いってらっしゃーい」と手を振って見送り、荷物を置きに自分の部屋に向かった。
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