褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません

「こ……こんにちは……」



直前まで悩んだものの、どうしてもスルーできず。

追い越すタイミングで思いきって挨拶してみた。



「あら、こんにちは」



うっ、わぁ……。

目が合った瞬間、あまりの美しさに思わず息を呑んだ。


光輝く白い歯にツルすべの美肌。長いまつ毛、そして美しい横顔。


どこかのお嬢様といっても過言じゃないくらい、上品な雰囲気をまとっている。

年齢は……40歳、いや、30代後半かな?



「お嬢さん」

「は、はいっ!」



突然呼びかけられ、ピシッと背筋を正す。



「突然で申し訳ないんだけど、保健室まで手を貸してくれない? ちょっとフラフラしてて……」

「はいっ! 案内しますね!」



お姉さんの背中に手を回し、ゆっくりと歩いていく。


やっぱり体調が悪かったのか。

それにしても、長袖暑くないのかな。


あぁでも、冷房が苦手とか、日射しに弱いとか。

もしかしたらケガしてたり、私みたいに体型が気になって腕を隠しているのかもしれない。


あれこれ考えながら、階段を1段ずつ慎重に下りて保健室へ向かった。
< 194 / 264 >

この作品をシェア

pagetop