褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「こ……こんにちは……」
直前まで悩んだものの、どうしてもスルーできず。
追い越すタイミングで思いきって挨拶してみた。
「あら、こんにちは」
うっ、わぁ……。
目が合った瞬間、あまりの美しさに思わず息を呑んだ。
光輝く白い歯にツルすべの美肌。長いまつ毛、そして美しい横顔。
どこかのお嬢様といっても過言じゃないくらい、上品な雰囲気をまとっている。
年齢は……40歳、いや、30代後半かな?
「お嬢さん」
「は、はいっ!」
突然呼びかけられ、ピシッと背筋を正す。
「突然で申し訳ないんだけど、保健室まで手を貸してくれない? ちょっとフラフラしてて……」
「はいっ! 案内しますね!」
お姉さんの背中に手を回し、ゆっくりと歩いていく。
やっぱり体調が悪かったのか。
それにしても、長袖暑くないのかな。
あぁでも、冷房が苦手とか、日射しに弱いとか。
もしかしたらケガしてたり、私みたいに体型が気になって腕を隠しているのかもしれない。
あれこれ考えながら、階段を1段ずつ慎重に下りて保健室へ向かった。