褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「あ、言いづらいなら、目瞑るから!」
頭の中を読み取ったのか、返答する間もなく先輩は目を閉じてしまった。
どうしようかと迷いながら、目の前の綺麗な顔をじっと見つめる。
これは言わないと帰れないなぁ……。
「……東馬先輩の意地悪。先に帰りますね!」
「今日はありがとうございました!」と早口でお礼を言い、急いでバッグを肩にかけて階段を駆け下りた。
このままだと体温上がりすぎて頭おかしくなっちゃう。
明日も学校あるし、熱出しちゃったら大変だ。
「ちょっと待って!」
下りきったところで呼び止められ、反射的に立ち止まる。
「途中まで一緒に帰ろう」
階段を下りた先輩が、隣に立って手を差し出してきた。
噂を気にして、人を気にして、繋ぎたくても繋げず。
苦しくもスルーしてしまった手。
でも、今なら──。
「……はい」
大きな手のひらに、自分の手をそっと重ねる。
静寂に包まれた階段の踊り場で、私達はお互いに指を絡めながら頬を赤くして笑い合ったのだった。
END
頭の中を読み取ったのか、返答する間もなく先輩は目を閉じてしまった。
どうしようかと迷いながら、目の前の綺麗な顔をじっと見つめる。
これは言わないと帰れないなぁ……。
「……東馬先輩の意地悪。先に帰りますね!」
「今日はありがとうございました!」と早口でお礼を言い、急いでバッグを肩にかけて階段を駆け下りた。
このままだと体温上がりすぎて頭おかしくなっちゃう。
明日も学校あるし、熱出しちゃったら大変だ。
「ちょっと待って!」
下りきったところで呼び止められ、反射的に立ち止まる。
「途中まで一緒に帰ろう」
階段を下りた先輩が、隣に立って手を差し出してきた。
噂を気にして、人を気にして、繋ぎたくても繋げず。
苦しくもスルーしてしまった手。
でも、今なら──。
「……はい」
大きな手のひらに、自分の手をそっと重ねる。
静寂に包まれた階段の踊り場で、私達はお互いに指を絡めながら頬を赤くして笑い合ったのだった。
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